銭湯の脱衣所の防犯カメラについて
2025/05/28
銭湯の脱衣所に設置された
防犯カメラ
日常生活で感じた疑問について、考えてみたこと
記事を書くきっかけ
私がたまに利用させていただく銭湯の番台の後ろに、防犯カメラの映像が映っているモニターが置かれていました。ただ、映像の内容は確認できませんでした。
男性の脱衣所を観察すると、防犯カメラが設置されていました。なお、その銭湯は、男風呂と女風呂が固定されているようで、いつも同じ脱衣所を利用しています。なので、女性の脱衣所に防犯カメラが設置されているかはわかりません。
私は、男ですが、さすがに全裸をカメラに撮られるのは、気分の良いものではありません。警察に相談しようかとも思ったのですが、先に、違法であるのか否かを調べることにしました。
インターネット記事
インターネットの記事は、全幅の信頼を置けませんが、端緒にはなるので、まず、インターネットで調べました。すると、すぐに弁護士の書いた記事などが見つかりました。
どうも脱衣所に防犯カメラを設置することだけでは違法とは言えないようです。NHKの記事(“男性なら”いいの? 男性脱衣所に防犯カメラ設置7割 | NHK | WEB特集 | ジェンダー)によれば、かなりの割合で防犯カメラが設置されているようです。
専門家らしく
さらに、詳しく調べると、性的姿態撮影等処罰法により、盗撮罪が処罰されることとされていました。この法律は、令和5年7月13日に施行されたもので、弁護士の感覚としては、最近できた法律になります。
この法律の第2条1項では、「次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。」としています。
そして、「次の各号のいずれかに掲げる行為」の一つとして、同項第1号で「正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為」と定めいます。
さらに、「次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)」の一つとして、「イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分」と定めています。
よくわかりません。
正確には上記のとおりです。しかし、頭がすぐに理解してくれません。理解するには、多少の時間を要しました。
かみ砕くと、常識的に他人に見られたくない体の部分や下着姿を撮影するのは、基本的に禁止です。例外は、本人が了解している場合(ただし、別の犯罪が成立する可能性があります。例、わいせつ物陳列罪、いわゆる「児童ポルノ禁止法」違反など。)と「正当な理由」がある場合などです。
では、銭湯の脱衣所の防犯カメラは、「正当な理由」があるのでしょうか?
正当な理由
弁護士を始め、法律に携わる者として常に頭を悩ませるのは、「正当な理由」などの一般条項です。自分の感性が、一般常識と一致しているのかが試される場面です。
銭湯の脱衣所に防犯カメラを設置することが「正当な理由」に該当するか否かは、メリット・デメリットのいずれが大きいかが問われると思います。いわゆる比較衡量です。
一つ目のメリットは、「防犯」カメラという名称でわかるように、防犯です。貴重品や衣類、下着などの窃盗を予防する効果があると思います。これに対しては、鍵付きのロッカーに、これらの物を保管すれば足り、防犯カメラは不要との反論が考えられます。この反論に対しては、鍵付きロッカーといえども、完全に窃盗を予防することはできないので、防犯カメラはやはり必要との再反論が考えられます。他にも、どの程度の防犯効果があるかを客観的に証明するのは困難(必要性を証明できない)との反論も考えられます。
二つ目のメリットは、事件が起きたときに映像が証拠となり、早期解決が期待できるという効果です。これに対しては、出入り口を撮影していれば、事件解決に必要な映像は確保できるという反論が考えられます。この反論に対しては、犯行現場の映像がないと不十分との再反論が考えられます。
デメリットは、やはり全裸を撮影されることです。男性の脱衣所に限定されるならば、デメリットは小さいとの意見があるとは思われます。なお、どういうわけか、犯罪は、女性よりも男性の方が、親和性が高い(犯罪者は男性であることの方が多い)との統計があります。
ちなみに
了解がある場合にも、盗撮罪は成立しません。インターネットの記事でも、銭湯側は、利用者に対して、脱衣所に防犯カメラを設置していることを知らせるべきであるとの意見もありました。
しかし、インターネットの記事によれば、実際には、防犯カメラを設置していることを知らせている銭湯は少ないようです。私が利用する銭湯で、そのようなお知らせが、脱衣所に入るまでの間で、目につくような場所には設けられていませんでした(ただし、私が気付いていないだけの可能性もあります。)。
なので、銭湯が、利用者の了解を得て、脱衣所に防犯カメラを設置している場合は、多くないように思います。
ただ、ネットの情報準拠よるもので、この記載の信用性は高くないことをご注意ください。
最後に
一般的には、銭湯の脱衣所に防犯カメラを設置することは、「正当な理由」があると考えられている様です。でなければ、警察が、銭湯に対して、警告を出しているはずであり、銭湯の業界団体も周知しているはずなので、脱衣所に防犯カメラを設置する銭湯は、多くないはずです。
ただ、この記事をご覧になった皆様はどのように考えますか?
性に限らず、常識は、時代とともに変遷します。江戸時代では、公衆浴場は男女混浴が当たり前だったとも言います。防犯カメラや男性の裸に対する認識も、10年後、100年後には変わっているかもしれません。
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